税理士・会計事務所を売却(M&A)するなら。税理士法人も含めて事業譲渡するケースが増加中!

税理士法人や会計事務所は独立した経営状態が安定しているように思える業種ですが、実はM&Aが非常に盛んな業界です。
税理士法人や会計事務所はM&Aによって経営の集約化を図ることが業界全体の流れになりつつありますし、既存の税理士法人や会計事務所を買収することは買収する側にとっては大きなメリットがあります。
また、M&Aの手続きは法人か個人かによって異なるので注意が必要です。
税理士法人や会計事務所のM&Aの特徴と注意点について詳しく解説していきます。

税理士法人や会計事務所の問題点

税理士法人や会計事務所は一般的には「安定した業種」と考えられています。
しかし次の2つの理由から税理士法人や会計事務所の経営は決して楽とは言えません。

  • 税理士の高齢化
  • 税理士法の改正による競争の激化

税理士法人や会計事務所が抱える問題点と今後の動向について詳しく解説していきます。

定年のない税理士は高齢化している

若い人が活躍しているイメージのある税理士ですが、実は非常に高齢化しています。
現在、税理士の半数以上な60歳以上となっており、国税庁によると税理士試験の受験者数も年々減少の一途をたどっています。
さらに、税理士には定年というものがありません。
高齢なっても続けることができるからこそ、業界全体で高齢化しています。
開業している税理士が「後継者を探したい」と考えても、すぐに後継者を探すことができる状況とは言えず、税理士は事業承継の問題を抱えている業種というのが実情です。
現在、税理士法人や会計事務所を個人経営している方は、数年先の引退まで見据えた経営をする必要があります。

税理士法の改正による競争の激化

安定した業界に見える税理士ですが、実は業界内での競争も激化しています。
平成14年に税理士法が改正され、税理士の営業活動が解禁されました。
これによって、税理士事務所は積極的に顧問先を獲得するための営業活動が可能になり、これまでであれば他の事務所の顧客を奪い合うことは不可能だったものが、今は営業に積極的な大手事務所に顧問先を奪われる小さな税理士事務所が少なくありません。
以前は競争がなかった税理士事務所も、今は競争が激化しており、競争力がない小さな事務所を生き残るのが難しくなっています。

税理士法人や会計事務所を買収するメリット

税理士法人や会計事務所は同業者による買収ニーズのある業種です。
税理士法人や会計事務所を買収することによって、次の3つのメリットを得ることができるためです。

  • 他地域への進出が容易にできる
  • 関与先が増加しコンサルティング収入の増加が見込める
  • 有資格者や技能者を採用することができる

税理士法人や会計事務所を買収する3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

他地域への進出が容易にできる

営業が自由化されたといっても、やはり税理士事務所は昔からの地盤が強いため、他地域の事務所が新天地へ営業展開しようと思っても簡単なことではありません。
そこで、M&Aによって他地域の事務所を買収してしまえば、非常に簡単に他地域へ進出することができます。
地盤やしがらみがまだまだ強い税理士の営業基盤ですが、M&Aによって地盤やしがらみを乗り越えることができるのは非常に大きなメリットだと言えるでしょう。

関与先が増加しコンサルティング収入の増加が見込める

M&Aによって既存の税理士法人や会計事務所を買収すれば、買収した事務所の関与先を手に入れることができます。

例えば「税務代理」「税務書類の作成」などによる売り上げが主な収入源だった事務所が、コンサルティングに強い事務所を買収することによって、コンサルティング収入の増加を見込むことができますし、その逆も期待することができます。
自分の事務所の売り上げで弱い部分をM&Aによって補うことによって、より総合力の高い事務所へと成長を遂げることができるでしょう。

有資格者や技能者を採用することができる

M&Aによって有資格者やすでに業務に精通した技能者を一度に雇用することができるのもM&Aの大きなメリットです。
税理士業界は高齢化しているので、なかなか簡単には有資格者を採用することはできませんし、実務に精通した優秀な人材となると尚更です。
また、ゼロから採用して育てるとなると時間もかかります。
有資格者や実務に長けた技能者をリクルートする方法としてもM&Aは活用することができます。

税理士法人や会計事務所のM&Aの注意点

税理士法人や会計事務所のM&Aは一般の企業のM&Aとは手続きがかなり異なります。
税理士法人か会計事務所かによって手続きは異なりますし、どのような形でM&Aを進めるかによっても手続きに違いがあります。
税理士法人や会計事務所のM&Aの問題点について解説します。

税理士法人は通常の持分譲渡、合併、事業譲渡の要領で行う

税理士法人のM&Aの場合には 持分譲渡なのか、合併なのか、事業譲渡なのかによって手続きが異なります。

持分譲渡によるM&A

持分譲渡は以前の経営者である税理士が保有する持分を買い手側の税理士へ譲渡して経営権を移す方法です。
持分譲渡によるM&Aは税理士同士でしか行うことができず、個人同士の譲渡となります。
そのため、買い手側の税理士個人に十分な資力がないとM&Aを成立させることは不可能です。
持分譲渡によってM&Aを進める場合には、自分に譲渡を受けるだけの資力があるかという点をしっかりと確認しましょう。

合併によるM&A

合併によるM&Aは売手側の税理士法人を吸収合併する方法です。
合併に対する対価として現金を支払うので法人からのお金の支払いでM&Aを進めることが可能です。
税理士法人のM&Aは合併で進めるのが一般的です。

事業譲渡によるM&A

事業譲渡とは、売り手側の業務の一部だけを譲渡する方法です。
例えば「コンサルティング部門だけが欲しい」という場合には、事業譲渡でM&Aを進めることも理論上は可能です。
株式会社のM&Aではよく行われる方法ですが、税理士法人のM&Aでは契約が複雑で、コンサルティング契約のみ結んでいるクライアントなどは少ないのであまり行われる方法ではありません。

会計事務所は個人経営者からの経営権の取得

個人経営の会計事務所のM&Aは個人経営者から経営権を事業譲渡によって買収する方法で行います。
買収するために必要な対価を以前の経営者に対して支払うことによってM&Aの手続きを行い、買収された事務所の経営者は譲渡所得となります。
個人経営の会計事務所のM&Aの方が税理士法人を買収するよりも手続きはシンプルになります。
このように、どのような形態によってM&Aを進めるかによって手続きが異なるので注意しましょう。

まとめ

税理士法人や会計事務所は高齢化が進み競争も激化していくので、M&Aによって集約化が図られている業界です。
まだまだ昔からの地盤やしがらみが強い業界でもあるので、M&Aを活用して効率的に経営規模を拡大するのが得策です。
自分の事務所が欲しい資源や足りないノウハウや人材を持っている税理士法人や会計事務所を探すことは簡単ではありません。
また、M&Aを進める方法も買収する事務所の形態によってさまざまです。
税理士法人や会計事務所のM&Aを希望する人は、まずはM&Aの専門家へ相談してみましょう。