障害者グループホーム(共同生活援助)の売却(M&A)のポイント!

障がい者グループホームを立ち上げるのは、それほど難しいことではありません。しかし、空室が多いと、赤字経営にもなりかねません。どのようにしたら、利用者を集めて満室にして、収益を上げ続けていけるのでしょうか。障がい者グループホームの経営を成功させるためのポイントについて解説します。

障がい者グループホームの利用者の安定

障がい者グループホームの経営を成功させるためには、利用者に安定して居住してもらうことが基盤となります。利用者を獲得するノウハウと、居住後に利用者が定着するためのポイントを説明します。

利用者を獲得するノウハウ

まず、障がい者グループホームがある地域に、行政の運営する、障害福祉サービス事業所の空き情報紹介ウェブサイトがある場合には、登録しましょう。同時に、グループホーム独自のウェブサイトを立ち上げ、理念、支援体制、設備、周辺環境、利用価格等の情報を発信します。その際にポイントとなるのは、空き状況がリアルタイムで表示されていることが一目でわかることです。また、スタッフによるブログが頻繁に更新されていることも、信頼を醸成することにつながります。日常生活の様子が、温かなスタッフ目線で書かれていたら、グループホームを探している人に安心感を与えます。また、相談支援事業所、精神科病院のケースワーカーにグループホームの存在を知らせ、利用者を紹介してもらうのも効果的です。

利用者が定着するためのポイント

入居者に継続してグループホームを利用してもらうためには、どんなことが効果的なのでしょうか。根幹となるのは、グループホームを「ホーム」として認識してもらうことです。様々な理由や家庭環境のために、利用者は元住んでいた家を離れ、グループホームに入居しているわけです。その新住居を「我が家」として思ってもらえれば、長く住み続けてもらうことができます。そのために必要なのは、スタッフとの信頼関係と、清潔で居心地の良い住環境です。スタッフはあくまでも障害者に対する支援者なので、家族とは異なります。それでも、困ったことを気軽に相談できて、時にはなんということのない雑談を交わし、グループホームでの心安らぐ時間を日常的に過ごすことができれば、強い信頼関係を結べるでしょう。また、清潔で暮らしやすい室内であることは、「ここに帰ってきたい」と思える住まい作りには必須の条件です。

障害者グループホームのスタッフの育成

グループホームの質を高める最大の武器は、優秀なスタッフの育成です。スタッフの教育、スタッフ間の情報共有の方法、人員配置のポイントについて説明します。

スタッフの教育

入居者は障害者であり、精神障害、知的障害、発達障害、身体障害など、一人一人異なった障害を持っています。たとえ同じ障害名であったとしても、各々の障害特性は同じではありません。その方の障害特性に応じた対応を取らなければならないのです。ですから、経験豊富なスタッフであることに越したことはありませんが、未経験者であっても研修を受講するなどして勉強をしてもらわなければなりません。自己流の判断で対応してもらっては、必ず問題が発生します。スタッフの教育は、グループホーム運営にとって、重要な課題です。

スタッフ間の情報共有の方法

グループホームには、管理者の他に、サービス管理責任者、世話人、生活支援員、夜間支援員というスタッフが必要です。人員基準を満たすために、非常勤スタッフを多く雇用することがどうしても必要となってきます。常勤、非常勤といった勤務体制も様々ですし、勤務時間も重なっていたりずれていたりします。しかし、利用者の支援という点では、チームとして同じ使命を持っているのです。そのため、スタッフ間の情報共有が適切になされていなければ、業務を遂行することはできません。定期的なスタッフミーティングの開催、連絡ノートの利用、メールやSNSなどのネットを介した連絡手段の活用、必要に応じて電話での連絡など、多様な情報共有の方法を駆使して、密接に連絡を取ることが必要です。

人員配置のポイント

複数のスタッフによってグループホームは運営されるのですから、人員配置をどのように行うのかということもよく検討しなければなりません。人員配置のポイントは、無理・無駄のないようにするということです。無理な人員配置を行うと、、スタッフに過重なストレスを与えてしまう恐れがあります。障害者の支援は決して楽な業務ではなく、時には突発的な事態も発生して対応を余儀なくされることもあります。長時間勤務、あるいは多すぎる業務の担当などがないように、ゆとりのある人員配置が求められます。逆に、人手が余ってしまうような、無駄のある人員配置を行ってしまうと、必要以上の人件費がかさみ、経営を圧迫する要因となってしまいます。

障害者グループホームの運営におけるトラブル対策

グループホームを運営していると、必ずトラブルは発生します。障害者グループホームの運営におけるトラブル対策について説明します。

利用者個人のトラブル対策

トラブルにはいくつかの種類があります。第一に、利用者個人のトラブルです。利用者の金銭管理、生活習慣、心身の健康管理、夜間の徘徊など、個人的なトラブルに対して、現場スタッフがいち早く気づき、対応することが求められます。必要に応じて、本人との面談も行いましょう。

利用者間のトラブル対策

第二に、利用者間のトラブルです。居住者同士の盗難、プライバシー・騒音などをめぐっての喧嘩、暴力、異性間のトラブルなどが発生します。スタッフがこのトラブルを放置していたら、問題は大きくなり、グループホームの運営にも支障をきたすでしょう。必ず双方の言い分を聞きつつ、グループホームの決まりにのっとって、適切な対応を取らなければなりません。

災害・緊急時のトラブル対策

第三に、災害・緊急時のトラブルです。災害を想定しての防災訓練を行ったり、緊急時の対応・避難場所についても、定期的に確認しておくことが必要です。防災グッズも常備し、適宜更新していきましょう。

障害者グループホームの運営ノウハウ

障害者グループホームの運営ノウハウについて説明します。

経営理念の確立

障害者グループホームの存在意義は、福祉サービスの提供であり、障害者の日常生活を支援することです。そのことを明記した基本的な経営理念を確立し、スタッフにも周知しておくことが肝要です。さらに、経営理念が形式的なものにならないように、随時、スタッフミーティング等において、確認しておきましょう。

障害特性に応じた運営

障害者個々人の障害特性は様々です。きめ細やかに、それぞれの特性に応じた、柔軟な運営を行なっていきましょう。具体的には、これまで想定していなかった障害特性を持った人が入居してきた場合には、グループホームの決まりを変更したり、追加したりすることなどが考えられます。また、スタッフの研修も追加で行わなければならないケースもあります。

法令・加算に関する知識習得

適切な経営を行うためには、関連法例を熟知していなければなりませんし、法改正についても敏感でなければなりません。また、夜間支援等体制加算、入院時支援特別加算など様々な加算を、取りこぼしのないよう請求していくことが必要です。さらに、各種加算については、変更がなされることがありますから、知識習得を怠っていては、経営の成功はあり得ません。

日頃からの監査対応

いつ監査が入っても困らないように、日頃から日誌等は確実に記録・保存し、経理も適正に管理していきましょう。日々の監査対応が確実になされていれば、それほど特別な準備をしなくても、落ち着いて監査を受け入れることができます。

まとめ

障害者グループホームの経営を成功させるためのポイントについて解説してきました。ずさんな経営をしていたら、確実に赤字になりますが、障害者グループホームの利用者の安定、スタッフの育成、トラブル対策、運営ノウハウについて、以上のようなポイントを一つ一つおさえていけば、経営は安定し、収益向上につながるでしょう。