居酒屋を売却(M&A)する前に押さえるべきポイント!飲み屋やダイニングバーなどの店舗売却

居酒屋などの飲み屋やダイニングバーの売却を検討している方に向けて、売却時に必ず押さえておくべきことについてお伝えします。コロナ禍での影響が大きい飲食業界において、事業転換に向けて動かれている人も多いのではないでしょうか?

最後までお読み頂ければ、居酒屋を売却する前に考えておくべきことが整理され、より良い形で売却準備を進めることができるでしょう。

居酒屋を売却する前に必ず押さえるべきことは?

居酒屋事業の売却時に必ず考えることは「買い手目線」の視点です。基本的なことですが、この視点を改めて考えて必要なポイントを押さえることで、高額で事業売却する方法を考えることができます。そのことを踏まえた上で、下記2つのポイントを押さえる必要があります。

  • 居酒屋売却の交渉を開始するまでに事業の価値を上げる
  • 従業員や技術などの資産などの強みをアピールする準備をする

居酒屋の事業売却における主要な要素は「立地」「規模(店内空間)」「清潔感」と言われています。これらに加えて、事業としての価値を上げることが重要です。有形資産は意図して価値向上することが難しいですが、無形資産である人材や提供サービス、ブランド力などの価値は経営手腕次第で価値向上ができるはずです。このことが売却交渉時のアピールポイントになり、高い価格での交渉が可能になります。これらを踏まえた上で、居酒屋業界特有の内容について詳細に触れていきたいと思います。

居酒屋業界動向について

まず、居酒屋業界の動向についてですが、業界の特徴として非常に景気の影響を受ける業界です。2012年頃から円高の是正や株価の上昇などの影響により、明るい経済動向のおかげで居酒屋業界も好調な推移が見られていました。しかし、2015年頃から苦戦を強いられています。背景には、若年層のアルコール離れや働き方改革による残業の減少、消費者の嗜好も変化したことが考えれられます。そして2020年に入り早々、新型コロナウイルスの影響が居酒屋業界を直撃、2021年4月現在もその影響は続いており客足は戻らない状況です。営業時間も時短要請により制限され、非常に厳しい状況が続いています。今後も新型コロナウイルスの影響が続くと考えると、デリバリーやテイクアウトを取り入れた新しい業態への転換が広がることが考えられます。そのこともあり、事業転換を求められ事業売却を考える経営者様も多いのではないでしょうか。買い手目線でも、これらの動向を踏まえた上で事業の引き受けを考えている可能性は高いと言えるでしょう。

買い手目線でみるチェックポイント

ここからは買い手目線で考えるチェックポイントについてお伝えします。居酒屋を売却すると言っても開店から1年も経っていないお店もあれば、10年、20年と営業を続けたお店もあるでしょう。さらに、既に閉店しているお店も含まれますね。そのことを踏まえた上で、買い手から見られるポイントを3つ取り上げます。

立地条件

立地条件は、店舗の売り上げを決める重要な要素です。人通りが多く集客が見込める立地であれば、買い手はすぐに見つかり高額売却の可能性も高いです。立地条件が良ければ近隣に同じ業態の競合店があった場合にも、業態転換をしてオープンすることも可能ですね。詰まるところ、売却価格が高額でも売れるケースのほとんどはこの好立地のパターンです。

設備(清潔感)

店内の清潔感は、居酒屋を運営する上でお客様の満足度を左右するため、買い手からも特に見られるポイントです。設備関連について、買い手側で内装工事が不要であれば高額売却にも繋がります。下記に設備に関するチェック項目を一覧にします。

  • 店内レイアウトや面積、形状について
  • 宴会需要への対応について(席数・個室の有無・大人数収容)
  • 厨房設備について(故障の有無・別業態へ転用可能か)
  • 空調や給排気設備について(空調やダクトの環境)
  • 衛生面について(清潔感)
  • その他設備について(コールドテーブル・業務用冷蔵庫・ガステーブル・製氷機・食器洗浄機)

10年以上営業をした店舗であっても毎日の清掃を欠かさず丁寧にしていたお店は、古さや不衛生さを感じさせません。日頃の営業から席空間や厨房を清潔に保ち、掃除を欠かさないようにしておきたいですね。

事業規模と収益性

事業規模について、個人経営のお店では10坪ほどのところが多いですが、事業売却においてもこの規模の店舗が人気です。というのも、個人でお店を始めるにあたって、30坪や40坪といったサイズのお店を始める方は少数だからです。また、収益性についてですが、居酒屋の売上の構成は「客数×客単価」です。そのため、席効率を考える必要があるので、変則的な形のレイアウトだと席効率が悪くなるために敬遠される可能性があります。業態の価格帯から店内雰囲気や個室の有無、宴会需要の刈り取り可否まで、事業としての収益性は非常に大切なポイントですね。

高額売却できる?買い手から喜ばれる付加価値について

居酒屋を売却する際の重要なポイントについて見てきましたが、立地や設備状況、規模などを変えることは難しいですよね。ここではそれらの情報とは別で、付加価値として高額売却に繋がる、買い手から喜ばれるポイントについて3つを取り上げます。

サービスの独自性について

居酒屋が提供している飲食商品や接客サービスは資産です。そのことから、買い手が注目するポイントとして、独自性の高いサービスを提供している場合はそのことが評価されます。オリジナリティのある料理や接客における斬新なサービスなどがあると、売却時の価格が上がるきっかけになります。

従業員の確保について

事業売却を行うと従業員も引き継がれるため、従業員の接客などの提供サービスレベルも買い手にとって重要なポイントになります。特に、居酒屋はブラック企業のイメージがあるため従業員を確保することも一苦労。人離れも激しいため、場合によっては従業員の労働に対する満足度もポイントになり得ますね。

お店のリピーターについて

居酒屋に限らず、どの業界でも「2割の常連客が売上の8割を作る」と言われています。そのため、リピーター客の割合などの情報があると、買い手から喜ばれる情報となり価格交渉の武器になるでしょう。さらに居酒屋の売却では、店舗そのものの評判も売却相場へ大きな影響を与えます。

仕入れ先の状況について

仕入れ先に関する情報は、買い手が個人経営のお店として新たに経営する場合に重要な情報になります。特に、一般的に個人経営のお店は、食材などをまとめて一度に大きな発注をすることが難しいので、仕入れコストが高くなることが多いです。そのため、優良な仕入れ先の引き継ぎや紹介は、買い手にとって喜ばれる情報となります。

まとめ

以上、いかがだったでしょうか?居酒屋を売却する時には、まずは買い手目線で改めて考えてみることが重要です。その上で、これまで触れてきたポイントを押さえていただくことが高額売却にも繋がる秘訣です。まずは、現在の店舗の状況を踏まえて、売却に向けて改善できるところを整理し行動に移しましょう。今回お伝えした内容が、皆様のより良い事業売却に少しでも繋がれば幸いです。