ビルメンテナンス業界は、景気に左右されることなく安定した売上を確保できる業界です。
いつの時代にもビルは存在し、定期的にメンテナンスが必要です。
そのため、景気の波に左右されることなく比較的安定した収益を期待できます。
しかし、安定しているかのように見えるビルメンテナンス業界ですが、最近は合併買収によってスケールメリットを得なければ生き残ることが厳しくなりつつあります。
ビルメンテナンス業界の現状と、今後の動向について詳しく見ていきましょう。
ビルメンテナンス業界の現状
ビルメンテナンス業界は他業種に比べて景気に左右されることなく売上規模が安定している業種です。
しかし、コロナ禍の影響で社会全体の景気が悪くなったり、新しい生活様式が一般化していけば経営状態が苦しくなる可能性があります。
ビルメンテナンス業界の現状について詳しく解説しています。
ビルメンテナンス業とはどんな仕事?
ビルメンテナンス業の業務内容は大きく分けて次の7つに大別されます。
- 清掃管理:ビルの内部や外部の清掃
- 衛生管理:空調・給排水設備の清掃、害虫駆除、ゴミの処理などの衛生面の管理
- 設備管理:ビル内の各種設備の運転保守
- 点検整備:ビル本体と付随する各設備の点検
- 警備・防災:ビルの警備、防火防災対策、駐車場管理
- 管理サービス:ビルの受付や案内など、ビルマネジメント業務
- エネルギー管理:ビルの省エネ管理、温室ガス削減診断などのエネルギー管理
堅調な業績を推移
ビルメンテナンス業界は他の業種と異なり、業績は堅調に推移する傾向があります。
上記のようなビル管理業務は景気不景気に関係なく需要がある業務です。
特に、ビルメンテナンス業界の主な業務は清掃で、これはほとんど景気に左右されることなく必要な仕事です。
そのため、景気の波に左右されることなく、ある程度堅調な業績を確保することができるのが、ビルメンテナンス業界の大きな特徴になります。
今後は空きテナントのリスクあり
比較的業績が安定しているビルメンテナンス業界ですが、今後は業績が不安定になる可能性があります。
コロナ禍によって飲食店を中心としてテナントが撤退しており、ビルメンテナンスに必要な業務が減少し売上が低下する可能性があります。
今後、新しい生活様式が一般化していけば飲食店の撤退はさらに進む可能性があり、今よりも空きテナントが増えてしまったらビルメンテナンス業界の経営は苦しくなるでしょう。
ビルメンテナンス会社を買収するメリット
ビルメンテナンス会社を買収することには次の4つのメリットがあります。
- 安定収益を得ることができる
- 総合ファシリティサービス分野の拡張
- 規模拡大
同業者は規模拡大になりますし、異業種であってもどんな会社が買収してもメリットがあります。
ビルメンテナンス会社を買収する4つのメリットについて詳しく解説していきます。
安定収益を得ることができる
ビルメンテナンス業は他の業種よりも比較的収益が安定している業界です。
そのため、ビルメンテナンス業界を買収することによって、安定した収益を確保することができます。
景気によって収益が大きく変動する業種がビルメンテナンス業を買収すれば、会社全体の収益の安定化を図ることができます。
総合ファシリティサービス分野の拡張
商社や不動産業などの業務を行っている企業は、ビルメンテナンス会社を買収することによってビル管理などの総合ファシリティサービス分野を拡充することができます。
総合ファシリティサービスとは、単なるビル管理だけでなく顧客の利益のために様々なイベントや企画を立てて管理するサービスです。
商社や不動産会社がビルメンテナンスなどの総合ファシリティサービスを拡充することによって、自社が持っている不動産の付加価値が高まったり、管理コストを削減することができるでしょう。
清掃・メンテナンス業務の規模拡大
同じくビルメンテナンスと清掃を営んでいる会社がビルメンテナンス会社を買収することによって、規模拡大を図ることができます。
1つのビルには1つのメンテナンス会社が管理するのが一般的です。
複数の業者が1つのビルを清掃することはほとんどありません。
そのためすでに他社が管理しているビルを自社に乗り換えさせることは容易ではありませんが、買収すれば簡単に他のビル管理も行うことができるようになります。
新規開拓が難しいビルメンテナンス業界において、M&Aを活用することによって効率的に規模拡大を図ることが可能です。
ビルメンテナンス業界の今後の展望とM&Aによる可能性
今は比較的経営状態が安定しているビルメンテナンス会社ですが、今後はどのように変化していくのでしょうか?
ビルメンテナンス業界の今後の展望とM&Aによる可能性について考察していきます。
コロナ禍によって競争激化
ビルメンテナンス業界はコロナ禍によるビル経営の不況によって競争が激化しています。
空きテナントが増えていくなか、ビルオーナーは少しでも安い会社に管理を任せたいと考えており、結果としてビルメンテナンス会社の競争が生まれていくでしょう。
コストを安くすることができる大手が有利になり、ビルメンテナンス業界にもスケールメリットが優位性をもたらすようになるでしょう。
これまではそれほど競争がなかったビルメンテナンス業界ですが、今後は競争が激しくなり、小規模の会社の生き残りは困難になる可能性があります。
人手不足の深刻化
ビルメンテナンス業界は高齢化が深刻です。
清掃から電気系統の管理まで業務内容が多岐にわたるビルメンテナンスの仕事を幅広くこなすことができる人材がどんどん退職しています。
今後は、人材の確保もビルメンテナンス業界の大きな課題で、人材を確保することができないメンテナンス会社は生き残るのが難しくなっていくでしょう。
人材を多く確保することで競争力強化に繋がる
人手不足が深刻化するビルメンテナンス業界では、有能な人材を多く確保することが競争力強化につながります。
若い人材をどれだけ多く育てるかによって競争力が高まり、他社との優位性を獲得することになります。
業務内容が多岐にわたるビルメンテナンス業界で人材を育てることは一朝一夕ではできません。
時間をかけて優秀な人材を数多く確保できる企業が競争の激しい今後のビルメンテナンス業界の勝ち組となっていくことでしょう。
そして、人材確保の手段としてM&Aが今後はどんどん活用されていくことが見込まれます。
まとめ
ビルメンテナンス業界は、比較的業況が安定しており景気の波に左右されることがない業種です。
これまでは競争はそれほどありませんでしたが、コロナ禍を契機にビル経営が悪化していけばビルメンテナンス業界の経営も厳しくなっていく可能性があります。
M&Aによって規模拡大、スケールメリットの追求、既存の人材の確保をしなければ今後のビルメンテナンス業界の生き残りは容易なことではありません。
また異業種からも業況が安定したビルメンテナンス業界を買収するメリットはあります。
ビルメンテナンス業界のM&Aを検討している場合には豊富な経験と情報をもつ専門家へ相談しましょう。