人材派遣会社を会社売却(M&A)する時に必ず押さえること!株式譲渡で売却するまでの流れ

今回は人材派遣会社の経営者や人材派遣の事業を行う経営者する方に向けて、「人材派遣事業を売却する時に必ず押さえること」というテーマでお伝えします。2020年から新型コロナウイルスの影響があり、事業転換を検討している経営者の方も多いのではないでしょうか?
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今回の記事を最後までお読み頂ければ、人材派遣会社を売却する時に必ず押さえるべきことがわかり、安心して売却の手続きまで進められるようになるでしょう。

人材派遣会社を売却する前に必ず押さえることは?

まず、人材派遣会社の売却を考える上で必ず必要なのが「買い手目線」です。この「買い手目線」からのメリットを踏まえた上で、必ず押さえる必要があることは主に下記の3点です。

  • どのようなノウハウや経験を持つ人材リストがあるか
  • 主要な取引先企業について
  • 現在の経営上における課題の洗い出し

買い手側は、新しい人材の一括確保により取引先企業とのマッチング率アップや取引先の拡大によるスケールメリットがあります。さらに、売り手側の経営課題を買い手側で解決できるのであれば、さらなる事業拡大が見込めると考えます。事業の買収による買い手側のメリットをしっかり理解することで、売り手側が売却する際に押さえるべきことがより明確になります。

人材派遣業界について

人材派遣業界は非常に景気に左右されやすいと言えるでしょう。好況の時には求人も増え多くの派遣社員が採用されます。しかし一方で、景況が悪化し人件費削減に企業が動けば状況は一転し、多くの派遣社員が契約期間の満了を持って切られてしまうことになります。一時は「派遣切り」という言葉が騒がれ、多くの派遣社員が契約を切られる事態が発生しました。そのようなことからも業界として移り変わりが激しく、柔軟な対応が求められるのが人材派遣業界です。今後は2020年4月に労働者派遣法が改正されたことをきっかけに、同一労働同一賃金の制度も厳格に進められる流れがあります。さらに、ワークライフバランスの充実や多様な働き方を求める労働者も増えることが予想され、引き続いて柔軟な対応が求められていくことでしょう。

買い手目線で見るチェックポイント

繰り返しになりますが、人材派遣会社の売却だけでなくどの事業の売却においても買い手目線は重要です。そのことを踏まえて、ここからは人材派遣業界における買い手目線で見る売却時のチェックポイントについて触れていきます。

人材について(数・質・専門性)

事業の買い手側は売却先の企業から人材を引き継ぐことになるため、人材の数から質、専門性まで勘案した上で、買収により自社とのシナジーを起こせるかを検討します。そのため、売却する側としては自社の人材に関する強みを整理しておくことが必要です。特に、介護士などその他有資格者がいる場合など、経験やスキルの豊富な人材に自信のある企業であれば、より売却価格を引き上げることに繋がるでしょう。

経営実績と売上

人材派遣会社の買い手側の企業は、買収によりスケールメリットを享受することになります。そのため、買収予定の会社の経営状況が好調であることが重要です。特に、これまでの経営実績と合わせて直近の売上の状況は非常に重要な情報です。また、仮に経営状況が芳しくない場合であっても、課題が明確で買い手側の企業がその課題を解決することができるものであれば、買収に積極的になってくれるでしょう。そのため、経営実績はもちろんのこと、経営上の課題も整理することがおすすめです。

失敗したくない!事業売却時の注意点

人材派遣会社の事業売却におけるチェックポイントについてお伝えしてきましたが、ここからは売却時の失敗を避けるための注意点をお伝えします。これから述べる注意点を押さえていただくことで、買い手側の企業とのトラブルを避けることに繋がります。今から対応できる点でもあるため、しっかりとチェックしてください。

法律改正への対応(事業売却まで時間のかかりすぎ)

人材派遣業界は景気の影響を受けやすく法律改正も多い業界です。近年の大きなニュースとしては、冒頭でも触れた2020年4月の法改正による派遣労働者への「同一労働同一賃金」に向けた取り組みです。さらに、2021年4月には中小企業の同一労働同一賃金適用も始まっています。このように、人材派遣業界は派遣法改正が順次行われており、そのことで経営が悪化するケースもあります。今後は法改正による規制の厳しさから、業界全体としては再編、淘汰が進んでいくものと考えられます。そのこともあり、事業売却に時間が掛かれば掛かるほど業績が厳しくなり事業売却に不利な状況に陥る可能性もあると言えるでしょう。

未払い保険料や未払い賃金の発覚について

管理不足により派遣労働者に対する賃金の支払いが正しくできていないケースは非常に危険です。このような未払い賃金が事業売却後に発覚した場合、事業の買い手側の企業が支払い義務を負うことになるため大きなトラブルに発展することが想定されます。派遣社員の長期的な雇用がある企業であればこのようなことは発生しにくいと思いますが、1日だけの派遣労働など短期的な雇用を中心とした事業を営んでいる場合は、このような未払い賃金や保険料の未払いなどが発生している可能性があり注意が必要です。

売り手と買い手の会社文化の相違について

売り手と買い手の企業文化の相違により、売り手側の企業の人材が離れ、買い手側が想定していたスケールメリットを享受できない場合があります。特に、社員の教育やその方針については相違が生まれやすい部分です。そのため、社員に対して会社の譲渡がポジティブなことであるよう伝える工夫に加え、両企業で互いに歩み寄り企業文化の理解を得られるよう時間を掛けて向き合っていくための機会を設ける必要があるでしょう。

社員のモチベーションについて

今いる会社の事業売却が決まったことに対して、ポジティブに受け止める社員は少ないでしょう。特に、正社員雇用を目指して働いていた社員にとっては、その可能性がなくなってしまう可能性もあるかもしれません。そのことからも、社員のモチベーションが低下し事業に支障をきたす可能性があります。そして、その影響で業績が悪化すれば、買い手側の企業から賠償を求められるなどトラブルに発展する可能性もあり得ます。そのため、事業売却の情報開示はギリギリまで控えること、そもそも社員にとってデメリットが大きい事業売却は避けたいところですね。

まとめ

以上、いかがだったでしょうか?人材派遣会社を売却する時には、まずは買い手目線で考えて頂き、売り手と買い手双方にメリットがあるかどうかを慎重に検討することが重要です。その上で、人材の数や質を高め企業としての価値を上げながら、売却後のトラブルを避けられるよう注意点をしっかりと押さえて頂くことで、双方のより良い発展に繋がるでしょう。最後までお読み頂きありがとうございました。今回お伝えした内容がこの先のビジネスに少しでもお役に立てれば幸いです。