イタリア料理店を譲渡・売却(M&A)!閉店するより売却の方がメリットが多い理由とは

イタリア料理店は大小問わず老若男女から人気がある外食ジャンルとなり、不況の中でも積極的にM&Aが行われいる業種でもあります。「一からレストランを立ち上げる」ことにリスクを考える買い手も多く、ローコストで参入できる「M&Aのメリット」に注目が集まっています。オーナーサイドとしては「経営されているビジネスの引退」や「売却した資金で新たなチャレンジ」のような取り組みも増え、売却をポジティブな取引として考える経営者も少なくありません。今回は実際に売却・譲渡された事例を踏まえ、相場より高く買い手がつく為の様々なポイントをご紹介します。

イタリア料理業界の市場環境と現状

1980年頃の「イタメシ」ブームによって急速に拡大してきたイタリア料理店ですが、いまや日本の外食産業に無くてはならないジャンルとなっています。リーズナブルな家庭料理やコース中心の高級イタリアンはもちろんパスタ専門店やピザ専門店など、イタリア料理といえど一括りには出来ず、様々なジャンルに多様化・発展をしてきました。おしゃれなイメージがあるイタリア料理ですが、実は高利益率な業態としても有名で、M&Aの対象としても人気がある飲食ジャンルとなります。
 

イタリア料理店の市場規模

イタリア料理屋(店舗)は全国で約4500店舗(大手チェーンが約2000店舗、個人天2500店舗)となっています。売上としては約6200億円を超える市場規模があり、イタリア料理ジャンルの中でもイタリアンファミリーレストランや宅配ピザ、ピザ専門店など専門性のある店舗が成長している傾向にあります。
 

イタリア料理店の市場動向

2020年からのコロナ渦の影響により自粛ムードや時短営業による客数の低下は飲食業界に大ダメージを与えました。しかし一方で、イタリアン需要は根強く残っており、宅配ピザやUberEatsの活用で安定した売上をキープしているお店も少なくありません。今後の市場の動向として、ただ店舗を構えるだけではなく、世間の状況に合わせ柔軟な対応が出来るお店が生き残るとされています。

 

イタリア料理店の現状

近年のイタリア料理店は多様化の一途をたどっています。家庭で簡単に本格イタリア料理が作れるようになりレストランでの外食需要が少なくなりました。現在では「パスタ専門店」や「ピザ専門店」など消費者のニーズに合わせ様々なお店が増えました。中でもサイゼリアをはじめとする「イタリア系ファミリーレストラン」が特に人気で業績を伸ばしています。中小のイタリア料理店では、SNSなどのデジタル活用や宅配・冷凍ネット販売などを強化し、売り方を工夫する企業が成功している傾向にあります。

イタリア料理店 M&Aにおけるチェックポイント

イタリア料理は老若男女どの世代にも人気があり、安定した集客力がある外食ジャンルとなります。その人気の一方では大手チェーンの拡大やファミリーレストランの人気が客単価を大幅に下げ、高級店とリーズナブル店の二極化の差が広がっています。小さい街のイタリア料理店はいかにリピーターを獲得するかが大きな鍵となり、色々な工夫やサービスを行うことで生き残り競争に挑んでいます。近年はコロナ渦の影響で閉店・廃業を余儀なくされる店舗も少なくありません。
しかしそんな中でもM&Aの買い手市場は盛んに動いており、買い手がつけば閉店や廃業をせずに経営基盤を引継ぎ、継続させることが可能になります。買い手売り手ともにしっかりとメリットが出るよういくつかのチェックポイントを作りました。
 

買い手がつきやすい店舗の特徴

立地

飲食店M&Aでもっとも買い手がチェックするポイントの一つが「立地」です。駅前や商店街などの人が集まりやすい場所はもちろんですが、イタリア料理屋はファミリー層にも人気が高いので住宅街なども買い手から好印象な立地となります。

多様化する需要に対応できる経営

最近の消費者の動向としては「目的別に細分化」されている傾向にあります。リーズナブルに食べたいなら「イタリア系ファミリーレストラン」、パスタが食べたいなら「パスタ専門店」、ピザが食べたいなら「宅配か専門店か通販」など。そんな多様化に対応するために、街のイタリア料理店でもテイクアウトに対応できたり、冷凍通販のノウハウを持っているとその付加価値は大きな魅力と捉える買い手も多いのが現状です。
 

イタリア料理店売却の注意点

イタリア料理店のM&Aにおける一番の注意点は「味の継承」です。街のイタリア料理店の中でも繁盛店の特徴として、リピーターの多くは「料理のファン」がほとんどを占めます。その料理にファンが付くと地元で有名なお店として根強く人気が続く傾向にあります。一方味が落ちると客離れが早いと言う特徴もあり、売り手はしっかりと味のクオリティをキープできるような体制作りが必須となるでしょう。買い手としてもお店のファン(売上)をそのままキープしたい気持ちもあるので、M&A検討段階の時点で「味の継承」は最重要ポイントにしましょう。
 

買い手がチェックしているポイント

人事<未払いの残業代や退職金がないか>

飲食業界の人手不足は日に日に深刻化しています。そんななかでこのような未払いが発覚すると極端に事業価値が下がります。これは店主(売り手)とスタッフとの信頼関係に結びつく問題で、事業継承後スタッフ退職が相次いだり、支払いの請求があったりとトラブルの原因になるような事を買い手は特に注意しています。

設備<設備投資に資金をかけすぎていないか>

「設備投資をすれば事業価値も上がる」このような考え方を持ち積極的に設備投資をする経営者も少なくありません。しかし、それが逆に買い手側に悪い印象を与えてしまう事があります。厨房を新しくして作業効率を上げ実際に売上も上がった場合でも、買い手がもし「厨房を新しくしないでも作業効率をあげるノウハウ」を持っていたら、その設備投資はリスクになります。また内装にこだわりくつろげるおしゃれな店舗を作った場合でも、買い手が重視する経営方針が違う場合は無駄な経費となる可能性も少なくありません。
設備投資をする前によく考え、お金を掛けずに事業価値の上がる検討をしてみてはいかがでしょうか?

 

イタリア料理店 M&Aの動向と現状

イタリア料理は人気も高く比較的新規参入の壁が低いため、毎年多くの新規参入と閉業が繰り返されています。事業を売却したい経営者も常に多く存在し、そんな中で買い手が付く店舗の特徴として「優秀な人材が確保できているか」「多様化に対応できるか」そんな課題をクリアできる店舗がM&A対象に選ばれる傾向にあります。

イタリア料理業界が抱える課題と対策〜まずは自社の価値を上げる〜

イタリア料理店に限らず、レストラン業界で抱える大きな問題としては「人材確保」です。数年前までは手軽に仕事ができ接客も経験ができる「飲食店アルバイト」が人気で、人気店は特に人が余っているような状態でした。しかし近年は人離れが深刻で優秀な人材を確保することが大きな課題となっています。様々な課題をクリアし生き残れるレストランになるために対策すべきポイントをいくつかご紹介します。
 

売上や利益を上げる為にやること

<値段を下げずに価値を上げる>

イタリア料理店で食事をする際に顧客がもっとも重要視していることは「時間」です。家庭のストレスや悩みを「美味しい料理と美味しいワインで楽しむ時間」を買っています。価格を下げることで「誰でも気軽に!」の時代は去り、今はこの空間でしか経験できない「時間」を付加価値として提供することでリピーターを増やしている店舗が繁盛店とされています。家族連れには「お子様用にDVDを貸し出しパパママでゆっくり食事をしてもらう」や「グラスワインのバリエーションを増やし少しづつ沢山の種類を提供」など顧客の心理に寄り添ったサービスを行うことで愛されるお店に近づきます。

<テイクアウトの工夫>

コロナ渦の影響で自宅での食事需要が高くなりました。そんな中で成功しているレストランの特徴は「テイクアウトの工夫」です。パスタにおいては麺が伸びて美味しくなくなることを懸念し、「完成品」と「自宅で茹でるパスタ&ソース」を選択できたり、ピザは生地と具材を小分けし家庭のオーブンで本格ピザが焼けるような取り組みで「子供とピザ作りが楽しめた」など沢山のファンが獲得できたケースも少なくありません。

 

生産性を上げる為に必要なこと

レストランで生産性を上げる秘訣は「当たり前を見直す」ことが重要とされています。人の動線、飲み物のおかわりタイミング、メニュー配分の理解(人はどのくらいの品数でお腹いっぱいになるか)、子連れやご老人のケアなどマニュアル化できることはしっかりと見直し3ヶ月に1回マニュアルが適正化の会議を開くことでバージョンアップさせていくことが必要になります。そうした取り組みの結果、顧客はもちろん従業員の満足度もアップし生産性が上がることにつながります。
 

他店と差別化する方法

色々な情報に耳を傾け、細かいところにも気を配れる付加価値サービスが、これからの時代に他店との差別化を図る大きなポイントとなります。ただおしぼりを出すのではなく最初は柑橘系のオイルを含ませたおしぼりを提供することにより食欲を増進させ、帰りはフラワーオイルを含ませたおしぼりでリラックスしてもらう。グラスはしっかりと拭きあげ冷凍し、ビールサーバーのメンテナンスも日々行い、最初にキンキンに冷えた最高のビールを提供する。そんな当たり前のサービスを追求することでそれが付加価値になります。
たかがイタリア料理されどイタリア料理。当たり前を追求し感動体験を感じれるお店作りを目指しましょう!

イタリア料理店 M&A事例

 

世田谷の有名イタリア料理店

20年以上にわたり街の住人に愛されてきたイタリア料理店ですが、経営者が並行して活動していたワイン販売の事業に集中するためM&A(株式譲渡)を検討しました。この店舗は昔からきめ細かなサービスが有名で、芸能人や著名人を多く顧客に持っており、かつ従業員の確保も安定していたため多くの買い手候補が上がり、最終的にはお店の良さを守りながら経営を続けてくれる企業と出会うことができました。