エステサロンを売却(M&A)する時に必ずやるべきこと!エステの事業譲渡の具体的な方法とは

今回はエステサロンを経営する方に向けて、「エステサロンを売却(M&A)する前に必ずやるべきこと」というテーマでお伝えします。慢性的な人材不足だと言われるエステサロン業界で、経営の統廃合や売却を検討されている方も多いのではないでしょうか?

エステサロンを売却する前に必ずやるべきことは?

エステサロンの売却においては、買い手側からどのような部分が評価されるのかを押さえることが大切です。そのため、買い手側の目線から評価されるポイントについて、業界のトレンドを踏まえた上で解説していきます。是非最後までお付き合いください。

エステサロン経営で大事なこと

そもそもエステサロンの経営において大事なことは何になるでしょうか。エステサロンの売却を検討していく際に重要なポイントとなります。当然経営資源が整っている会社の方が売却価格が高くなりやすく、買い手の手もあがりやすくなるでしょう。また、自社の強みや経営課題を認識できていれば、その点をポイントにマッチングの精度を向上できたり、買収後のトラブルの軽減にもつながります。

集客できる場所ですか?

店舗の立地はとても重要です。どんなに施術スキルのあるスタッフがいても、立地が悪ければ集客が難しくなります。また、駅近も魅力的ですがそれだけで決めるのも危険です。重要なことは、「ターゲットとするエリアにいる年齢層と自店サービスの相性の良さ」、「自店周辺にいる競合が行なっているサービスと価格帯はどのようなものか」です。価格帯での勝負は厳しい結果が待っています。やはり顧客、競合点を見て自社のスタッフ、技術で勝負できる場所が望ましいと言えます。

お客様と従業員との繋がりは強いですか?

エステサロンの経営において、直に接する従業員のサービスと顧客にとって居心地がいい店舗であることが選ばれるサロンとして重要です。特に最近はSNS等の活用が活発でブログ等を駆使して積極的にスタッフや店舗の雰囲気を発信し見込客を獲得していくことが求められます。
リピーターになるお客様はお店が気にいるパターンと従業員に満足するパターンが多いです。接客のポイントやお店のコンセプトを作り、従業員とシェアすることで、リピーターを獲得できるお店の雰囲気、従業員のサービスを作り上げていくことが重要です。
また、お店と従業員の繋がりも重要です。従業員が不満なく働いていないかコミュニケーションを取ることが必要です。従業員が離職してしまうと、お客様が従業員を気にいっていた場合はお客様が離れる理由になりすまし、喧嘩別れであれば後々未払い残業代で揉めてしまう等もあります。公平なコミュニケーションを持って従業員と接し、限度はありますが可能な限り不満を取り除いていきましょう。

美容業界動向

エステサロンがカテゴリされる美容業界の動向についてご説明いたします。業界動向としては2020年の感染症流行を機に変化が起きています。

市場概況について

まずはエステサロン業界のトレンドをつかんでおきましょう。業界全体の市場規模は2020年度事業者売上ベースで3436億円となる見込みです。2019年度までは横ばい傾向が続いていた市場規模ですが、感染症流行の影響で自粛が求められるようになると、美容業界もその影響を受け2020年度では市場規模が94.7%まで縮小しました(矢野経済研究所調べ)。
また、理容業界としては感染症流行の前から経営の統廃合が進んでいます。消費者のニーズも変化しており、これまではエステといえば女性のイメージが強かったものが、最近では男性をターゲットとしたメンズエステ店も増加しています。更に、最新のエステ機器の開発が進んだり物販を手掛ける事業者も増えていたり、トレンド情報の収集もさらに重要になっています。今後は、最新トレンドと多様なニーズにも応えられる体制が必要になると言えるでしょう。

変化するマーケット

感染症流行後の1年間は前述の通り市場規模は縮小しています。しかし、その中でも注目したいのは、実店舗への顧客数は減少傾向にあったものの、自宅でのセルフケア等への需要は増加したことです。これは、セルフケアに関する需要は今後成長することを示唆していると考えられます。

将来の業界動向について

美容に関しての関心は、今後も変わらず一定の市場規模の維持が見込まれます。加えて、セルフケアへの需要も増加していくことも見込まれます。今後はセルフケアをしたいお客様のサポートと実店舗での施術をハイブリッドに組み合わせた形態が変化に強い経営体制として必要になるものと考えられます。
また、エステサロン業界は供給過多の状態です。業界の動向としてはM&A等の統廃合も進んでおります。今後は、事業承継の問題も重なることでより規模の大小に関わらずM&A等は活発に行われることが予想されます。

エステサロン売却の理由は様々

エステサロンを売却する理由は様々です。例えば、後継者が決まっていない場合に事業承継の手段としてM&Aを行い売却する、経営の合理化や別事業に集中するために売却をする、経営者として利益の獲得をしたい、自社の経営課題を他社のサポート・強みで補いたい等様々なものがあります。

エステサロンのM&A(株式譲渡・事業譲渡)とは

M&Aは第三者承継の位置づけとなり、株式譲渡や事業譲渡により会社や事業を統合していくことになります。株式譲渡は会社の株式を現金対価で買主に譲渡します。会社の経営権を譲渡することになります。事業譲渡は会社の資産の一部を現金対価で譲渡します。会社の資産の一部や全部を譲渡することになります。どちらの方法にもメリット、デメリットがあります。ここは売り主の目的や、買い主の目的で決めていくことになります。どちらの方法でも、その特徴を理解して交渉していくことが大事です。できる限り専門家等を活用して売り主、買い主双方が納得のいく売買を目指したいものです。

エステサロンを買う会社の目的は?

それでは買い主側はどのような理由で買収を行うのでしょうか。例えば、事業拡大があります。既存事業で理容商品を扱っており、初期投資を抑えてサロン経営に参画して既存事業とシナジーを獲得したいことが考えられます。他にも、既存事業でエステサロンを運営しており新たな地域に進出するためも考えられます。他には人に着目して、既に業務経験もあり技術もあるスタッフを引き継ぐことで自社にない新たなノウハウを獲得したり人材不足を補ったりすることが考えられます。これだけでも、投資費用の削減、出店地域の拡大、人材獲得、技術獲得等様々な目的が考えられます。どれか1つだけでなく複数の理由の組み合わさることがほとんどです。売り手としては、買い手のM&Aの目的が何になるかを理解して、自社を買収することでどのようなメリットにつながるか提案できるように経営状況を整理したいものです。

エステサロンを売りたいと思ったときにチェックする5つのポイント

ここからは、買い手目線で見るエステサロンを売却するポイントについて解説します。これらのポイントを理解しておくことで、事業の評価を高め、売却価格を高めることにも繋がります。また、今すぐの事業売却を考えていなくとも、今から下記のポイントを磨き上げておくことができる部分もあるので要チェックです。

立地条件について

エステサロンは店舗型ビジネスのため、ターゲットとする客層が多いエリアでアクセスしやすい場所にお店を構えていることが大切です。しかし一方で、エステサロンは無資格で参入できるため非常に競合も多いのが特徴となります。立地条件はもちろんですが、競合は増えやすいことを前提に賃料等の固定費用が安い物件であることも重要なポイントになります。マーケットの特徴と立地条件と合わせて、固定費用の条件まで重要と言えるでしょう。

人材について(エステティシャンの資格有無、専門性など)

エステサロンは人材が全てと言っても過言ではありません。エステサロン業界は離職率が高く慢性的に人手不足に悩まされています。さらに、無資格で参入が可能で競合も増えやすいため、優秀なエステティシャンによる個人のブランドでの集客力が非常に重要になるわけです。在籍しているエステティシャンが、「日本エステティック協会(AJESTHE)」や「日本エステティック業協会(AEA)」の認定する民間資格を保有していることもポイントとなるでしょう。

設備状況について(最新設備等)

エステサロンでは、設備の導入状況はとても重要です。なぜなら、エステサロンは競合の参入が多いこともあり高い集客力が求められます。そのため、最新設備をウリに来店するきっかけを作り集客を図ることも多いからです。また、その設備と人材による掛け合わせでリピートするユーザーを確保できるでしょう。さらに、近年は技術の発達がとても早いため、トレンド機器などの情報をしっかりと押さえながらマシン導入を検討しておくべきです。導入したマシンが現在の集客にも役立ち、売却時の資産にもなり高額売却へと繋がります。

店内空間について(広さ・個室・清潔感)

人材と設備状況に続いて重要なのが店内空間です。エステサロンは室内でサービスを提供するため、快適な空間であることが顧客からも喜ばれるポイントになります。そのため、快適と感じる広さや高さの個室が重要です。どの程度の規模を求めるかにもよりますが、個室の数が多ければ稼働が増やせるため好まれるでしょう。

経営実績と売上について

エステサロンは競合の入れ替わりが早いため、その状況により自社の売上の変動も大きいでしょう。その中で、特に重要なのがリピーターの割合です。経営実績と売上の情報から、新規とリピーターの割合を分析し、リピート顧客が多ければそのこともプラスに働きます。

売却までにやるべきこと

エステサロンを売却する際のチェックポイントを踏まえた上で、売却までにやるべきことをまとめました。これらのことに備えることで、事業売却が円滑に進むことが期待されます。

エステティシャンのクオリティ担保

競合との差別化を図る上で重要なのがエステティシャンのクオリティです。在籍しているエステティシャンが資格を保有していれば、そのことをウリにすることもできます。特に、日本エステティック業協会(AEA)には、上位資格にあたる「AEA上級認定エステティシャン」と、最上位資格の「AEA認定インターナショナルエステティシャン」があります。
これらの資格を保有している場合は、大きな強みになるでしょう。基礎資格を取得している場合は段階的にステップアップできるシステムになっているので、従業員の取得支援やステップアップを促すことでその先の売却にも効果的に繋がるはずです。

最新設備と店内清潔感の維持

最新設備を取り入れている場合は、そのことが集客における来店動機にもなります。そのため、売却時にはそのことも資産として高く評価してもらえることでしょう。また、使用している機器を含めた店内空間の清潔感は、非常に重要なポイントです。日々の手入れから心掛けることをおすすめします。

リピーターの状況について

業態やターゲットにより異なりますが、リピーターが獲得できていることは安定的な売上に繋がるため非常に重要なポイントです。なぜなら、競合が増えやすくトレンドの流れも早くなっているエステサロン業界において、新規集客に力を入れる際にはコストも大きく掛かかるからです。リピーターが多くおり、リピーターを獲得するノウハウや仕組みを有していれば、新規集客よりもはるかに簡単に再来店誘致をしながら売上を確保することが可能です。今からリピーターを確保するためのサービスシステムを確立することで、事業売却時にも資産となり役に立ちます。

評判チェック(各種口コミサイト等)

評判や口コミは、高い集客力を求められるエステサロンでは特に重要です。現在ではホットペッパービューティーやGoogleマップなどにユーザーの口コミや評価が定量的に残るため、それらを参考にして実際にそのサロンを利用するかどうかを決めているユーザーも増えています。買い手が事業を引き受けて、同じ店舗としてそのまま営業をする場合はそれらの口コミもそのまま引き継がれることになるため、非常に重要なポイントになります。ということは、今から良い口コミが入るよう改善を行えば事業売却時にはアピールポイントになります。今からお客様からの口コミを参考にしながら、経営改善を行うのも一つではないでしょうか?

売却を検討するときは中小企業診断士へ相談してみる

M&Aを検討する際は、専門家の助言を受けることをおすすめします。M&Aの交渉をスムーズに進めたり、経営者の適切な判断をサポートするのが専門家の役割になります。M&Aでは交渉の段階において様々な契約書が必要であったり、財務、法務、労務、ビジネスの観点で価格を決めたり等、経営をするスキルとはまた別のスキルが求められます。
M&Aをサポートするプレイヤーは様々います。その中で、中小企業診断士は経営に関する様々な見識を持ち合わせた資格を有する士業となります。特に経営・ビジネスに関して経営者の相談に乗り、サポートする士業となり、経営・ビジネスのツボを抑えています。そのような中小企業診断士がM&Aのアドバイザーをすることで資産や決算書だけでなく経営・ビジネスという観点からもM&Aのサポートができます。
売却をすぐにしなくても準備に向けてのご相談も承っておりますのでご相談お待ちしております。もちろん売却時のアドバイザーのご相談もお待ちしております。