寿司屋を譲渡・売却(M&A)するなら!閉店・廃業するより売却の方がメリットが多い理由

日本のソウルフードと言われる「寿司」。海外からの人気も高く日本を代表する外食業界として大きく拡大してきました。近年のコロナ渦による不況の中でも業界業績は安定しており大手企業による業務拡大M&Aの動きも盛んに行われています。一方で中小企業のM&Aも活性化してきており、全くの異業種から飲食に参入する為にM&Aを行う企業も増えてきています。寿司業界は味や職人の伝承文化が強く、一からの新規参入が難しいとされています。そんな課題をクリアできるM&Aは今だからこそ注目されており、売り手側も「経営されているビジネスの引退」や「跡継ぎ不足による事業継承」を検討する経営者が増えています。今回は実際に売却・譲渡された事例を踏まえ、相場より高く買い手がつく為の様々なポイントをご紹介します。

寿司業界の市場環境と現状

1000年以上の歴史があり、現代でも日本人の約70%が「好きな食べ物」と答えるほど、日本のソウルフードとなっている「お寿司」。2021年現在では様々なジャンルの寿司屋が展開されており「カウンターの握り寿司」「回転寿司」「宅配専門寿司」などの多種にわたる業種があります。高級寿司からリーズナブルな100円寿司まで老若男女が楽しめる日本の国民食として愛され人気が高い外食ジャンルとなります。
 

寿司業界の市場規模

寿司業界は今、約7000億円の市場規模がありますが、そのシェアの85%が大手5社で占めているという規模格差が大きい業界となります。近年ではインバウンドにおける外国人の回転寿司ブームも拍車を掛け、大手回転寿司業界は拡大を続けています。一方で地方の回転寿司チェーンの倒産が相次いでおり、大手の寡占化が進んでいます。
 

寿司業界の市場動向

2020年からのコロナ渦の影響により自粛ムードや時短営業による客数の低下は、業績が右肩上がりだった寿司業界にもダメージを与え、曲がり角を迎えています。もともと寿司業界は「テイクアウト需要」があり、今回のコロナ渦にも十分対応できるジャンルと期待されていました。しかしUberEatsなど宅配サービスによるテイクアウト参入業種が増えたことにより「テイクアウト競争が激化」したことやお盆や年末年始などの「帰省需要が消失」したことで寿司業界も大きなダメージを受けている。
 

寿司業界の現状

コロナによる巣ごもり需要が進み、外食人口の低下や時短営業で店舗の運営だけで売上を上げることが難しくなっており、各店様々な工夫を凝らしサービスの多様化が売上を確保するうえで大きなポイントとなっている。自宅で楽しめる「手巻きセット」の提供や非接触を目的とした「持ち帰り自動ロッカー」の導入など、現代の消費者の目線に合わせた対策ができる企業がよい業績を上げている傾向があります。

寿司屋 M&Aにおけるチェックポイント

日本のソウルフードでもある寿司屋はどの世代からも人気があり、来店集客はもちろん、テイクアウト需要も多い人気の外食ジャンルです。回転寿司の大手チェーンが売上の大きなシェアを持ちますが、中小企業の寿司チェーンや個人寿司店も地域密着で地元から愛されるお店が多いのも特徴の一つです。寿司は「鮮度が命」ともいわれるくらい、「味」が売り上げに大きく影響し、「職人の技術」「仕入れ先」「衛生環境」等、一般の飲食店に比べ気を付けなければいけない点が多くあります。地方の寿司屋チェーンなどは高齢化による事業継承が大きな課題となっており、跡継ぎがいないことで廃業を余儀なくされる企業も少なくありません。M&Aによって買い手がつけば閉店や廃業をせずに経営基盤を引継ぎ、継続させることが可能になります。
 

買い手がつきやすい店舗の特徴

寿司屋の運営で最も大切とされるのが「職人」と「ネタ」です。買い手が飲食事業未参入の場合、寿司屋のM&Aでは「ハード(店舗)」と「ソフト(職人と仕入れ先)」をセットで検討される場合が多く、参入における経営リスクを出来るだけ抑えたいと考えています。

ハード面のポイント

「立地」が重要になります。ロードサイドであれば「駐車場の広さ」や「車の入りやすさ」、繁華街であれば「人の通り」や「立地階(1階なのか2階以上なのか)」をチェックします。

ソフト面のポイント

「職人の技術」はもちろん「育成体制が整っているか?」や、いいネタを入れてくれる「上質な仕入れ先があるか?」も重要な判断ポイントになります。ソフト面は経営者再度で改善できる事も多く、買い手を付ける為にも再度現状を見直し、ソフト面の充実化および強化することをお勧めします。

 

寿司屋売却の注意点

寿司屋のM&Aにおける注意点は「人材の流出」です。寿司屋が繁盛する一番のポイントは「味」です。その「味」を左右する大きなキーマンが「職人」となります。魚の鮮度の見極めからシャリの管理など寿司は職人によって大きく味が左右されると言われています。M&Aの交渉時には、従業員に対しても、将来の不安を感じさせない様、職場環境や雇用条件、待遇などしっかりと向き合いスタッフの話を聞くことで、M&Aの発表後に反発を受けるようなことがないように配慮することが重要です。 
 

買い手がチェックしているポイント

飲食店のM&Aにおける注意点は「リスク」です。買い手は買収検討をする上で様々な角度から「リスク」を探します。売却後にトラブルが内容この「リスク」を最小限に抑え円滑な取引が出来る様心掛けていきましょう。
 

人材のリスク<スキルやモチベーション>

買い手が一番気にしている事が「人材のリスク」です。飲食業界は慢性的な人材不足が課題となっており、M&A買収後営業スタイルを変える場合、新しいことを覚えたり、異なるポジションで働くといった環境の変化で、不平や不満が出る状況をリスクと考えます。M&A実施前に従業員や職人と向きあいしっかりと状況を説明をし理解を得ましょう。従業員の産案を取り除くことはもちろん、買い手に安心のイメージを与えることが出来るので意識して取り組みましょう。

 

運営依存のリスク<オーナーや主要人物への依存の有無>

小規模の寿司屋の場合、店主(オーナー)や主要職人に運営を依存していることも少なくありません。接客や調理におけるマニュアルがなかったり、メニューやレシピ開発のノウハウが店主しか持っていないということもあります。その場合、買収後に同じクオリティーで運営することが難しくなることが予想され、それが大きなリスクとなります。職人しか出来ないポジションや技術は別として、その他の業務を出来るだけマニュアル化することで、業務効率の改善になりますし、買い手から信頼を得やすくなりますので積極的に取り組みましょう。
 

寿司業界 M&Aの動向と現状

寿司業界のM&Aの動向として、大手の事業拡大目的でのM&Aが目立ちます。業界最大手のスシローチェーンにおける「テイクアウト事業の拡大・強化を目的とした京樽買収」や「海外展開加速の為の元気寿司との経営統合」など、回転寿司大手が事業拡大を進めています。
一方では、中小規模の寿司屋M&Aも活発化しており、特に飲食業界への新規参入の窓口として寿司業界を選ぶ経営者も多くなってきています。

 

寿司業界が抱える課題と対策〜まずは自社の価値を上げる〜

寿司業界が抱える一番の課題は「職人離れ」です。修行や下積みを懸念する若者も増えてきており、慢性的な人材不足や職人不足が社会問題になってきています。大手が展開する回転寿司はオートメーション化が進み、素人でも寿司が提供できるシステムやマニュアルで拡大をしていますが、小規模の寿司屋にとっては職人の技術の低下は死活問題になります。そんな課題をクリアし現代に生き残れる店舗にする為に対策すべきポイントをご紹介します。
 
 

売上や利益を上げる為にやること

人材確保<労働環境やモラルなど現代にマッチさせる>

寿司屋運営のキーポイントとなる「職人」。職人が育つことで味が向上し、リピーターの増加につながります。昔から寿司の修行といえば、「住み込み」「少ない給与」「10年」などネガティブなイメージが多く、「忍耐」を必要とされてきました。しかし現代は多様化が進み寿司=職人というイメージが薄くなりつつある中でこの修行制度を見直す店舗も少なくありません。プライベートを重視する現代に合わせ「安定した給与体系」「休日の確保」など時代に合わせた待遇が人材不足を解消する大きなカギとなります。

<多様化に合わせた柔軟な経営>

近年の寿司屋の繁盛店の特徴として、多様化の波に合わせた柔軟な経営体制がある。「寿司とシャンパンを楽しめる店」や「出前体制を強化しUberEatsを活用する」など今まで寿司業界ではタブーとされてきた事が時代の変化で大きく変わりつつあります。固まった考え方を柔軟にし寿司本来の「伝統」や「文化」と現代の「多様化」をマッチさせる事で新たな経営戦略を考えることが必要となります。
 
 

生産性を上げる為に必要なこと

寿司屋において生産性を上げるためにはSNSの活用が効果的です。寿司は視覚効果も強く見た目も色とりどりでSNSに向いている業種となります。定期的なメニューの掲載や季節料理のアップによって認知度を上げファン増やしましょう。
運営ではお客様に記入してもらう「オーダーシートの導入」やネットを活用した「持ち帰りの受注」「キャッシュレスシステムの導入」など、出来るだけ人員を掛けない心がけが生産性の向上につながります。
 

他店と差別化する方法

小規模店舗は地元客を大切にし要望を一つ一つクリアしていく事で地域から愛される寿司屋として差別化を図ってきました。大手回転寿司はリーズナブルで手軽な分沢山の人が行き来しており寿司屋本来の魅力であるゆったりとお寿司楽しむ空間はありません。静かでゆったりと出来る店づくりを目指し、職人とお客様が楽しく会話できるお寿司本来の魅力を追求することで他店との差別化を図ることができます。大手に惑わされ値下げや効率ばかりを考えるだけではなく、今一度お店の方向性を見直してみても良いのではないでしょうか?

寿司屋 M&A事例

 

京都の有名百貨店のお寿司の弁当専門店

ITや美容事業を運営している経営者の方が、飲食事業新規参入として成功したM&A事例です。寿司店オーナーは3代続く老舗寿司屋で2代目の時に百貨店へ移転したとのことでした。新規参入ということもありそのまま事業を継承したかったので、職人とも丁寧に話合いを重ね、結果誰一人辞めることなく事業継承をすることに成功しました。今回は百貨店内での出店ということもあり集客のリスクを抑えられた事も買収を決めた大きな要因だったといいます。