うどん屋・そば屋を売却(M&A)するときの成功ポイントとは!

日本の4大国民食「ラーメン・カレーライス・蕎麦・うどん」。その中でも江戸時代から庶民の味方であった「蕎麦・うどん」は、時代が変わった現代でも変わらず愛され続けています。近年では高級店から格安チェーン店まで様々な種類の蕎麦・うどん店が軒を連ね、日本の外食産業を盛り上げています。そんな日本を代表する外食ジャンルである「蕎麦・うどん店」のM&A事情を徹底分析しました。

蕎麦・うどん業界の市場環境と現状

日本の外食産業はピークとされる1997年から比べ現在は85%ほどに大きく縮小しています。それに対し「蕎麦・うどん業界」は114%と大きな成長を見せています。「藪そば」や「更科」「砂場」などを代表する老舗系統そば屋はもちろんですが、最近では「丸亀製麺」や「はなまるうどん」のような大手チェーンの成長が著しく、「ファスト系」の新しいエッセンスが業界に広がり、拡大を続けています。
 

蕎麦・うどん業界の市場規模

全国にある「蕎麦・うどん店」は約22,000店ほどで市場規模は約1.3兆円あり、日本の外食産業を大きく支えています。市場規模推移としては1997年頃の規模1.08兆円に比べ約20%増加しており拡大傾向にあるといえます。
蕎麦・うどんに対する個人支出額も増加しており1997年頃のから比べると約5%ほどの増加傾向にあります。一方で外食産業全体の個人支出総額はー3%ほどの減少となっており、いかに「蕎麦・うどん業界」が安定した人気があるかが数字からも表わされています。
 

蕎麦・うどん業界の市場動向

蕎麦・うどん業界は歴史が長く、昔から激し競争が行われてきました。江戸の3大蕎麦といわれる「藪」「更科」「砂場」の御三家は現在も本格蕎麦を食べれる名店として昔と変わらず愛されています。一方で現代に至るまでに様々な形態の蕎麦・うどん屋が爆発的に増えました。「蕎麦」では「立ち食い蕎麦」や「蕎麦ダイニング」「ご当地そば屋」などリーズナブルな店舗からそこでしか食べれない限定的なそば屋まで幅広く拡大しました。そして近年でとくに爆発的な拡大をしているのが「うどん」です。「丸亀製麺」を代表する讃岐うどんのファストフードチェーンは日本中に一大ブームを起こしました。2018年には蕎麦・うどん業界全体売り上げ1兆円のうち約10%にあたる904億円の売り上げを「丸亀製麺」が占めています。またリーズナブル系だけではなく、並行して高級うどんもブームを巻き起こしました。銀座や丸の内などの一等地に店を構える「つるとんたん」は、うどんに対する概念を覆し、「うどん懐石」という新たなジャンルを作り出しました。
蕎麦・うどん業界の市場は拡大傾向にあります。1997年外食産業の売り上げのピークからリーマンショックや東日本大震災等を経験し外食全体の売上は下降気味にありました、しかしそんな中でも蕎麦・うどん業界はピーク時から売上が落ちることなく横ばいに続き、2012年頃からはさらに右肩上がりに拡大しています。蕎麦・うどん業界がいかに不況に強い外食産業であるかは一目瞭然ですよね。
 

蕎麦・うどん業界の現状

現在、売り上げ数字では一見好調に拡大しているように見える「蕎麦・うどん業界」ですが、実は極端な二極化が発生しています。儲かっている店と廃業してしまう店の格差が激しく、店舗数は年々減少しています。ここ15年ほどでなんと約35%ほど店舗数が減少しているのです。2006年には約35000店あった店舗も現在では約22000店ほどまでに減少しています。しかしその反面、市場規模(売上)は2006年の1兆円ほどの売上から現在では1.3兆円ほど、約130%ほどの伸び率があります。つまり売れているお店は勢いを増し拡大していく一方で、売れないお店は廃業に追い込まれるほど客足が遠くなっているという厳しい現状という見方ができます。
自身の店が繁盛店になる。すなわちM&Aでも買い手がつきやすくなるチェックポイントはどんなところなのでしょうか。次で詳しくご説明します。

蕎麦・うどん屋 M&Aにおけるチェックポイント

自身の店舗が繁盛店になる、もしくは繁盛店になる可能性を秘めている店舗であれば自ずと相手が増えて、有利な交渉を進められます。蕎麦・うどん屋も様々なスタイルがあり、多様化されている今だからこそ買い手がチェックするポイントをしっかりと分析し、順応していくことが交渉を有利にする第一歩です。
 

買い手がつきやすい店舗の特徴

蕎麦・うどんは昔から「庶民の味方」とされ、多くの人々に手軽でリーズナブルに愛されてきました。しかし近年、競合がインスタントやコンビニまで広がっており、「手軽で安価」だけでは価値を見出せない個人店が増えてきています。「ざる蕎麦」や「天ぷらうどん」など定番料理が多くメニューの差別化が難しい為、それとは違う部分での付加価値を探している買い手が多いのが現状です。例えば「手打ち蕎麦」「手打ちうどん」など店舗で打つサービスは「レシピを引き継げるか」が大きなポイントになります。機械化が進む中で、お店で打ち立ての蕎麦やうどんを食べれるのは、買い手がつきやすい店舗の特徴の一つといえるでしょう。
 

蕎麦・うどん屋売却の注意点

蕎麦・うどん業界の大きな課題は「人材」です。現在個人経営のお店も高齢化が進んでおり、事業継承が出来ぬまま閉店や廃業を余儀なくしてしまう経営者も少なくありません。売却に出す前に、しっかりと後継者や継承に関して考えることが必要です。例えば自身に後継者がいないのであれば、M&Aで事業継承をしてもらえるように「レシピ」や「サービスマニュアル」などを作成し、誰でも高いクオリティーで作業ができるように準備しなければいけませんし、後継者候補がいるのであれば手厚く指導して早い段階でお店を任せてみるのも悪くないと思います。このように売却前にしっかりとした準備が必要になります。
 

買い手がチェックしているポイント

大手チェーンの勢いが激しいこの業界では、個人店でしか出せない個性が重要となります。蕎麦・うどんの命とも言える「だし」は、セントラルキッチンでの大量生産で質よりも量の大手チェーンでは味に限界があります。一方毎日丁寧に「だし」を取り繊細な味にこだわる個人店では、大手が台頭する今でも行列ができる店舗も少なくありません。買い手がチェックするポイントはこのような「大手にはできない個人店の強みを最大限に生かしているか?」や「他店との差別化が図れているか?」という部分が多くを占めています。

 

蕎麦・うどん屋M&Aの動向と現状

蕎麦・うどん業界は、個人店こそ小規模な店舗が多く従業員数もそこまで必要ないため、比較的買収後すぐに事業を始められると人気の業種でもあります。粉物ジャンルということもあり原価やコストも低く設定でき「ローリスク」で運営ができると他業種からの新規参入案件も多く取り扱われています。地域の特性を生かした「天ぷら」や「丼もの」など地元客に愛されている店舗ほど人気は高く、今後も現在同様にM&Aは積極的に行われていくと予想できます。小規模店舗ならではの「地域密着」や「ローリスクな運営」は買い手からも好印象を持たれる場合が多いです。

蕎麦・うどん屋業界が抱える課題と対策〜まずは自社の価値を上げる〜

個人経営の蕎麦・うどん屋は、大手チェーンの台頭やコンビニ・インスタントの発展で窮地に追い込まれています。廃業する店舗は少しずつ増えており不安な毎日を送る経営者様も多くいらっしゃいます。しかしそんな不況の中でも、お客様のために最大限工夫し、企業努力を惜しまず、毎日お昼には行列ができ、夜も予約が多く入っている個人店の蕎麦・うどん屋も多く存在します。すぐに繁盛店にできるほど運営は簡単ではありませんが少しの工夫の積み重ねがのちの繁盛店につながります。その第一歩として繁盛店が行っているその「少しの工夫」を実例をあげてご紹介しますので、ぜひ明日から試してみてください!
 

売上や利益を上げる為にやること

売上を上げるために必要なのは「集客」です。その集客を増やすために「SNSの配信」を行ったお店がありました。そのお店は従業員全員で「新しいメニューの紹介」や「人気メニューランキング」「地酒の紹介」などスタッフが順番に投稿をしました。最初は数人だった登録者が1年で約200人ほどに。従業員が配信する情報はもちろん、アンケートや割引特典なども配信し、200人が毎月1回使っても約200組のお客様を獲得することができ大きな集客ツールとして今も尚少しづつファンを増やし続けているそうです。
 

生産性を上げる為に必要なこと

生産性を上げるために「ネットサービス」を導入し成功を収めた店舗があります。その店舗では店舗サービスと出前の2つの柱で運営を行ってきました。近年の人手不足やコロナ不況により人員が使えなくなり、この「店舗」と「出前」のサービスに限界を感じ始めていた店主が思い切って「出前」をネットサービスにし、注文は全てネットから受けるようにしました。すると今まで電話だった出前注文がネットに変わったことで、電話受付の人員が店舗サービスに回れるようになりました。ネット注文導入後でも出前売上は落ちることなく、むしろ売上が上がっているそうです。売上アップの要因は「手軽さ」と「料理写真からメニューを選べる」ことがファミリー層や高齢者にも受けているとのこと。企業努力が身を結んだ瞬間ですね。
 

他店と差別化する方法

蕎麦・うどん屋で他店と差別化を図る一番の要因は「味」です。蕎麦やうどんは日本人が最も慣れている料理だからこそお店を選ぶ一番の基準はその「味」にあります。蕎麦・うどんの要でもある「だし」はもちろんですが、今回は「野菜天ぷら」で差別化を図った事例をご紹介します。そのそば屋では普段から「天せいろ」を看板メニューとして海老やキノコ、かき揚げなど、定番とされる天ぷらを提供してきました。ある時なじみのお客さんから「揚げたてで美味しいのだけど量が多く年寄りには胃がもたれる」との声が。その声を参考に店主が考えたのが珍しい野菜を少しづつ天ぷらにした「野菜だけの天せいろ」でした。一見お得感もなくボリュームも少ないので期待せずに提供を始めましたがこれが大盛況。今ではその野菜天せいろを求め県外から足を運ぶ人も多いほど人気が高まりました。珍しい野菜とはいえ、その時に採れた野菜を使うことでロスも少なく、少量でコストも大幅にカットしました、しかしそれでも「珍しい野菜の天せいろ」は大きな付加価値を与え、他店との差別化を図ることに成功した事例です。
 

蕎麦・うどん屋 M&Aの成功事例

31年営業してきた14坪の小さな手打ち蕎麦屋さんでしたが、店主の体調不良をきっかけに売却を検討することに。「地元から愛されている店舗」ということと「継承するための準備(レシピ化やマニュアル化)」が万全だったため3組ほどの候補が上がりましたが最終的には250万円で円満契約ができました。決め手はお店の事業継承を最も重視した買い手を選定したとのことでした。