自動車整備会社を売却(M&A)するときのポイント!自動車整備工場を売るなら、これだけはやっておきましょう。

自動車整備業界は一見するとM&Aには無関係な業種に思えますが、今後はディーラーや兼業工場が顧客満足度引き上げるため、自動車整備工場を買収する事例が増えていくのではないかと考えられています。

自動車整備工場や業界の現状、さらに自動車整備工場を買収するメリットや注意点について詳しく解説していきます。

自動車整備業界の動向

自動車整備業界は人口減少などとはほとんど無関係に売上を拡大しています。

しかし、専業の小さな自動車整備工場の経営状態は厳しくなり、今後は規模の大きな自動車整備工場やディーラーなどが強くなっていくでしょう。

自動車整備業界の現状について詳しく解説していきます。

市場規模自体は増加傾向

一般社団法人日本自動車整備振興会連合会によると、2018年度の自動車整備業の売上高は、5兆5,295億円(2018年)となっており、これは2013年対比で2.0%増という数字です。

若者の車離れは高齢化や日本全体の人口減少によって、自動車整備業界の市場は小さくなっているイメージがありますが、実は業界全体では売上は拡大傾向にあります。

では、売上拡大の内訳はどのようになっているのでしょうか?

専業自動車整備工場は減少傾向

個人や家族などで自動車整備だけを専業に行っているのが、「専業自動車整備工場」です。

専業自動車整備工場の売上は2018年で1兆9,364億円と、2013年対比で4.7%も減少しています。

専業自動車整備工場は、ディーラーや兼業整備工場と比較して、売上を減少させています。

これは、自動車の進化によって、顧客がディーラーや兼業工場に奪われてしまっているというのが大きな原因とされています。

ディーラーや兼業工場が強い時代に

ディーラー工場や建業工場は売上を拡大しています。

2018年のディーラー工場の売上は2兆6,927億円、兼業工場は6,713億円と、それぞれ2013年対比で7.3%と4.5%の増加となっています。

専業工場が失った売上のほとんどがディラー工場と兼業工場に流れており、自動車整備業界は専業から兼業・ディラーという流れになっています。

これは、自動車がハイブリッドカーなどの普及によって電子化したことが大きな原因です。

従来の自動車整備だけの技術では電子化された自動車を整備することが難しくなっていることから、ハイブリッドカーなどのオーナーの多くが修理や整備の際には自動車を購入したディーラーや中古自動車屋へ持ち込むためだと考えられています。

また将来的には自動ブレーキの搭載や自動運転など自動車の電子化がさらに進化することが見込まれることから、ますます専門的な機械と技術を要した資本力のあるディラーの整備工場などが有利になっていくでしょう。

自動車整備工場を買収するメリット

ディーラーや同業者が自動車整備工場を買収することには様々なメリットがあります。

  • 熟練職人を雇用できる
  • ディーラーは顧客サービスを拡大できる
  • タクシーやレンタカーは自社で整備ができる
  • 車検や整備の大規模化チェーン化を図ることができる

技術のある従業員を雇うことができるだけでなく、サービスや社内体制をさらに充実されることが可能です。

自動車整備工場を買収する4つのメリットについて詳しく解説していきます。

熟練職人を雇用できる

自動車整備工場を買収することによって熟練の職人を雇用できます。

自動車整備は資格を取得したからと言ってすぐに即戦力になれるわけではありません。

これまでどれだけ多くの自動車を整備してきたかによって、メーカーごとの癖やポイントなどを感覚的に把握できるようになり、それが仕事の成果を大きく左右します。

買収によって熟練の職人を雇用することができるので、人材を育てる手間がかかりません。

ディーラーは顧客サービスを拡大できる

カーディーラーが自動車整備工場を買収することによって、自社工場を持つことができたり、自社の工場を拡大することができるので、自動車を販売した顧客に対してより広範に整備を提供できるようになります。

顧客に対してより手厚いアフターケアができるので、顧客満足度の高いディーラーとしての付加価値を得ることが可能です。

タクシーやレンタカーは自社で整備ができる

タクシーやレンタカー事業者が自動車整備工場を買収すれば、自社の工場でタクシーやレンタカーを整備することができます。

自社工場であればタイムリーに整備ができますし、外部の車を整備することによって事業の多角化にも繋がります。

自社工場で整備しているというだけで、タクシーやレンタカーに安全性という付加価値をつけることもできるので、本業の売上アップも期待できるでしょう。

車検や整備の大規模化チェーン化を図ることができる

すでに自動車整備業を営んでいる事業者が他の自動車整備業者を買収する場合には、規模拡大をすることができます。

地域でのチェーン化を図ることもできますし、これまでは民間車検場を持っていなかった工場が民間車検場のある自動車整備工場を買収することによって車検を受け付けることも可能です。

自動車整備工場が同業者を買収することによって売上の拡大を期待することができるでしょう。

自動車整備工場を買収する注意点

自動車整備工場を買収する際には次の2点に注意してください。

  • ハイブリッド車やEV車の整備には別に技術が必要
  • 自動車販売やレンタカーと兼務する場合には資格が必要

自動車整備工場を買収して、すぐに事業を始めることができるかといえばそうではなく、業務内容によって資格保有が必須になることがあるので注意しましょう。

それぞれのケースで必要な資格について詳しく解説していきます。

ハイブリッド車やEV車の整備には別の技術が必要

ハイブリッド車やEV車の整備をするためには、コンピューターや電気の知識が必要になり、今後は車載式故障診断装置(OBD)への対応が求められる見込みです。

これまでのエンジン周りのことだけを理解しているだけでは、ハイブリッド車やEV車の整備には対応できないので、自動車整備士免許を持っているというだけでは整備できない可能性があります。

そのため、メーカーの講習を受講したり電気系の資格を取得するなどして、技術者を要請する必要があります。

自動車販売やレンタカーと兼務する場合に必要なもの

自動車販売やレンタカーなどと自動車整備工場を兼務する場合にはそれぞれ次のような資格が必要になります。

  • 中古自動車販売/買取との兼業:古物営業法の許可申請
  • レンタカー事業との兼業:格安レンタカーチェーンやインターネットを活用したカーシェアリングサービスへの加盟

中古自動車を販売する場合には、古物営業法の許可が必ず必要です。

レンタカー事業を営む場合には、事業を円滑に進めるために、格安レンタカーチェーンやインターネットを活用したカーシェアリングサービスへの加盟を検討した方がよいでしょう。

まとめ

自動車整備業界全体は売上が拡大していますが、伸びているのはディーラーだけで専業の自動車整備工場はむしろマイナスです。

ハイブリッドやEVの普及によって、自動車整備業もコンピューターなどの知識が必要になったことから専業の自動車整備工場では対応できないことが多く、そのためディーラーに顧客が流れています。

今後、小さな自動車整備工場が生き残っていくためにはM&Aも検討すべきかもしれません。

自社に見合った自動車整備工場に出会うためにはM&Aの専門家に相談するのがベストです。

まずは豊富な情報と取引実績のあるM&Aの専門家へ相談しましょう。